背景・経緯
福島県のいわき市と広野町にまたがる「あぶくま南風力発電所」の建設は、再生可能エネルギーの導入を推進する福島県の取り組みの一環として進行している。関電工は、この発電所の設計・施工を担当し、風車の調達・輸送・据え付け、変電所の建設、自営線や集電線の設置などを一括して行っている。詳細は日刊建設工業新聞(新しいタブで開きます)で報じられている。
この工事は、国内の風力発電所の中で最も難度が高いとされる。風車の部材を運ぶ輸送路の長さが約100キロメートルに及ぶことが主な理由であり、輸送ルートの中には道幅が狭い箇所やカーブ、交差点が存在し、輸送の支障になりそうな箇所が多数存在していた。
関電工は、輸送計画の策定に日本通運グループのNXエンジニアリングの協力を得て、3D測量を活用し、険しい山道を拡幅・補強する工事を約8年間かけて地道に進めた。さらに、土地の所有者が不明の場合は登記簿調査や地元への聞き取りを行い、一つ一つ突き止めたという。
詳細・ポイント
風車のサイズはローター径が103メートル、タワー部分の高さが85メートルと巨大で、ブレード1枚の長さは約50メートル、タワーは1段当たり約21〜24メートルにもなる。さらに、発電機を格納するナセルは約83トンの重量がある。輸送にかかる期間も異例の長さで、一般的に2日間でも珍しい中、1回当たり計4日間にわたる。
大型部材は6種類の特殊車両を使い分け、小名浜港から計3カ所で積み替えながら風車サイトに運び入れる。このうちブレードの運搬では、トレーラー型の「起立台車」を採用。ブレード先端の位置を電線や信号機の隙間を縫うように微調整しながら輸送する。
業界への波及効果
この工事の進展は、風力発電所の建設を手がけるゼネコンや設計事務所、施工管理者などに大きな影響を与える。風力発電所の建設では、輸送ルートの確保が大きな課題となることが多く、関電工が採用した輸送計画の策定方法や特殊車両の活用は、将来の風力発電所建設における参考となる可能性が高い。
また、再生可能エネルギーの導入を推進する地方自治体なども、風力発電所の建設を促進するために、輸送ルートの確保や特殊車両の活用を支援する必要がある。関電工の取り組みは、風力発電所の建設を促進するための新たな手法として注目されることが予想される。
実務者のアクション
風力発電所の建設を手がけるゼネコンや設計事務所、施工管理者は、輸送ルートの確保や特殊車両の活用について、関電工の取り組みを参考に検討する必要がある。さらに、再生可能エネルギーの導入を推進する地方自治体なども、風力発電所の建設を促進するために、輸送ルートの確保や特殊車両の活用を支援する必要がある。情報収集先としては、国土交通省や経済産業省のウェブサイトを参照することができる。