背景・経緯

地震の際、建物は無傷だったのに、内部で死傷者が発生した――。建物の耐震性が向上した現在、家具・什器など、建物の構造部分と直接つながっていない部分の安全性が、次世代の課題として浮上している。防災科学技術研究所が実施した、屋内空間の実大振動実験から最新事情を伝える。詳細は日経クロステック(新しいタブで開きます)で報じられている。

防災科学技術研究所の実験は、室内空間を中心とした機能維持のための研究会が参加して2026年3月に実施したもので、実験装置として使われたのは、防災科研・兵庫耐震工学研究センターの3次元振動実験施設(通称:E-ディフェンス)だった。

E-ディフェンスは日本最大の振動台を有し、最大で高さ20m以上の建物をそのまま揺らすことができる。ただ、この実験では少し複雑な手法を採った。高い建物は、上層階ほど地震の横揺れが増幅されるので、建物による揺れの増幅効果を事前に計算した増幅波形を使って振動台を動かしたのだ。これにより、タワーマンションや免震住宅の内部、病院やオフィスの内部なども目の前で再現できるというわけだ。

詳細・ポイント

具体的には、振動台の上に揺れにびくともしない強固な鉄骨でできた平屋建てを置き、その屋内を内装材で仕上げ、家具を配置した。内装や内部空間の状況だけを観察する仕組みだ。一度に複数の空間を揺らし、比較できるようにした。

防災科研と研究会の問題意識には、大地震では家具や家電による負傷者が多数出るということがある。建物の倒壊は内部にいる人の死に直結するため、建築業界では主に建物自体の耐震性を向上させてきたものの、反面、室内空間の安全性は課題として棚上げされたままだった。特に日本の首都圏は過密な都市であり、首都直下地震では広域かつ多数の被害が生じ、救助活動は困難を極めると懸念されている。

業界への波及効果

この動きが建設業界全体にどう影響するか、ゼネコン・設計事務所・専門工事業者など立場別の影響を示す。短期的な変化と中長期的なトレンドの両面から考察する。

首都直下地震では広域被害が懸念されるため、家具の固定や室内空間の安全性が重要になる。建築業界では、耐震性の向上とともに、室内空間の安全性も重視されるようになる。

実務者のアクション

読者が「明日から」取るべき具体的なアクションを3つ以上。各アクションは「誰が」「何を」「いつまでに」を明確にする。情報収集先(URL不要、機関名や資料名で十分)を示す。

家具の固定や室内空間の安全性を確認することが重要になる。建築業界の実務者は、耐震性の向上とともに、室内空間の安全性も重視する必要がある。