背景・経緯

総価請負契約では、契約時に金額が確定する代わりに、想定外の事象のリスクを受注者が負う。この構造が、条件不確定な工事では機能しにくい。土木学会のコストプラスフィー契約に関する検討報告書(新しいタブで開きます)は、代替となる契約形態を整理したものである。

コストプラスフィー方式では、下請契約額が発注者に明らかにされるため、透明性確保の観点からは総価請負より優位とされる。

詳細・ポイント

基本構造は単純である。実際に発生した工事原価(コスト)に、あらかじめ定めた報酬(フィー)を加えて支払う。フィーは定率とする場合と定額とする場合があり、後者はコスト増が受注者の利益増につながらないため、コスト管理の動機が働きやすい。

課題は、原価の妥当性をどう検証するかである。実費であれば何でも認められるわけではなく、監査と、GMPのような上限設定が併用されることが多い。

業界への波及効果

災害復旧のように、工事内容が着手時点で確定しない事業では、この形態の合理性が高い。総価で契約すれば、後の変更協議が膨大になる。

一方、公共調達においては「予定価格の範囲内で契約する」という原則との整合が論点になる。制度的な検討が必要な領域である。

実務者のアクション

適用を検討する場合、フィーを定額とするか定率とするかを慎重に選びたい。定率はコスト増が報酬増につながるため、動機づけの面で不利である。

原価として認める費目の範囲を、契約書の別紙で具体的に列挙しておくことを勧める。曖昧な費目は、必ず後に争点となる。