背景・経緯
東日本大震災の復興事業は、通常の公共工事の前提が成立しない状況にあった。震災復興で導入されたアットリスクCM方式の解説(新しいタブで開きます)によれば、発注者のマンパワー不足に加え、事業内容の全体像がなかなか確定しない中で、アットリスクCMRを早期に選定し、設計施工一括型で事業内容を固めながら推進していく手法が検討された。
被災自治体の技術職員は限られ、同時並行で膨大な事業を立ち上げる必要があった。
詳細・ポイント
通常の手順であれば、調査・計画・設計を終えてから施工者を選ぶ。この順序を守れば、着工までに数年を要する。復興事業ではその時間が許されなかった。
アットリスクCM方式では、CMRを早期に選定し、設計を進めながら並行して施工の準備を進める。CMRは施工リスクも負うため、設計と施工の整合を自らの責任で確保する動機を持つ。
業界への波及効果
この経験は、平時の事業にも示唆を残した。事業の輪郭が定まらない段階から専門家を関与させる価値が、実例として示されたためである。
同時に、緊急時ゆえに許容された手続きの簡略化が、平時にそのまま適用できるわけではないという整理も必要になった。
実務者のアクション
災害時の事業執行体制を検討する自治体は、平時のうちに手法の選択肢を庁内で共有しておきたい。発災後に新しい方式を学ぶ余裕はない。
事業者側は、事業内容が固まらない段階での参画に必要な体制(概算コストの精度、リスク評価)を平時に整えておくことが、有事の対応力になる。