背景・経緯
公共工事標準請負契約約款(新しいタブで開きます)は昭和25年に中央建設業審議会で決定されて以来、幾度も改正を重ねてきた。契約書のひな形であると同時に、どのリスクを誰が負うかを定めた文書として読むべきものである。
建設工事は、地中条件や天候といった着工前に確定できない要素を多く抱える。これらが顕在化したときの処理を事前に定めておくのが約款の役割である。
詳細・ポイント
実務で頻繁に参照されるのは、条件変更等に関する条項、設計図書の変更に関する条項、工期の変更に関する条項、そして物価変動に伴う請負代金額の変更に関する条項である。
これらに共通するのは、「想定と異なる事態が生じたとき、発注者に通知し、確認を求め、必要に応じて契約を変更する」という手続の型である。手続を踏まずに現場判断で処理すると、後から費用を請求する根拠を失う。
業界への波及効果
約款の存在は、公共工事の予測可能性を支えている。民間工事においても、この約款を参照して契約条件を組み立てる例は多く、実質的な業界標準として機能している。
近年は、片務性の是正やリスク分担の適正化が政策課題として繰り返し取り上げられており、約款の改正もその文脈で進んでいる。
実務者のアクション
現場代理人は、条件変更に該当しうる事象を発見した時点で書面通知する運用を身につけたい。「後でまとめて」は、権利を失う最も典型的な経路である。
発注者側は、通知を受けた際の確認手続を滞らせないことが重要である。確認の遅れ自体が工程の遅延要因となり、結果的に費用増につながる。