背景・経緯

建設業法の改正により、注文者が通常必要と認められる期間に比して著しく短い工期で請負契約を締結することが禁止された。国土交通省の工期に関する基準の実施勧告に関する報道発表(新しいタブで開きます)でも、適正な工期の確保が制度の目的として示されている。

この規定の特徴は、規律の対象が受注者ではなく注文者側にある点である。従来、工期の無理は受注者の努力で吸収されてきたが、その構造自体に規制が入った。

詳細・ポイント

判断基準となるのが、中央建設業審議会が作成・勧告する工期に関する基準である。基準に照らして著しく短いと判断されれば、規定に抵触しうる。

実務上重要なのは、契約時点だけでなく変更契約も対象になりうる点である。工事内容を追加しながら工期を据え置く運用は、実質的な工期短縮として問題になりうる。

業界への波及効果

民間発注者にとっては、建設業法の規律が自らに及ぶという認識自体が新しい。特に不動産開発やテナント工事では、オープン日を起点に工期を逆算する慣行が根強く、見直しが求められる。

受注側にとっては、断る根拠ができたことの意味が大きい。ただし取引関係上、法を盾に交渉するのは容易ではなく、実効性は運用次第という指摘もある。

実務者のアクション

発注側は、工期の根拠を残す運用を定着させたい。「先方が了承した」ではなく、どの前提で何日と算定したかの記録が、後の説明責任に応える。

受注側は、無理な工期を提示された際に、基準に沿った積み上げを書面で返す運用を勧める。記録が残ることで、後の変更協議が現実的になる。