背景・経緯
高度経済成長期に集中整備された道路橋やトンネルが、一斉に更新時期を迎えつつある。現場メディアの報道(新しいタブで開きます)によると、全国に約73万橋ある道路橋のうち建設後50年を超える割合は、2023年時点の37%から2030年には54%、2040年には75%まで増加する見込みだという。
道路以外の公共インフラも同様の老朽化局面にあり、施設を管理する自治体や事業者にとって、限られた予算の中でどう維持管理を進めるかが共通の課題になっている。
詳細・ポイント
道路橋の維持管理では、事後保全(損傷が進んでから修繕する方式)と予防保全(損傷が軽微なうちに計画的に手当てする方式)の2つの考え方がある。試算では、事後保全を続けた場合の30年間の総コストが約280兆円になるのに対し、予防保全に転換した場合は約190兆円にとどまり、その差は約90兆円に上るという。
点検体制については、定期点検を5年に1回、近接目視を基本として実施し、健全性の診断結果を4区分に分類する仕組みがすでに整備されている。この点検データをもとに、修繕の優先順位を判断していくことになる。
業界への波及効果
老朽化率が今後10年余りで倍以上に跳ね上がる見通しは、点検・修繕を担う建設会社や建設コンサルタントにとって、中長期的な受注機会の拡大を意味する。一方で、点検・診断を行う技術者の確保や、限られた予算をどの構造物に優先配分するかという判断の難度も同時に高まる。
予防保全へ舵を切れるかどうかで将来のコスト負担が大きく変わるため、修繕の後回しが結果的に財政負担を増大させるという認識を、発注者側がどこまで共有できるかが今後の分かれ目になる。
実務者のアクション
インフラを管理する自治体・施設所有者は、保有する橋梁・構造物の点検結果を改めて棚卸しし、事後保全に偏っていないか、予防保全への転換余地がないかを確認する価値がある。
点検・修繕を受注する建設会社は、老朽化が進む2030年代に向けて点検診断技術者の育成や体制強化を今のうちに進めておくことが、今後の受注機会に直結する。