背景・経緯

現場で最も普及している工程表はバーチャート(横線式)である。読みやすく作成も容易だが、決定的な弱点がある。ある作業が3日遅れたとき、全体工期にどう響くかが読めない。

ネットワーク工程表は、作成方法の解説(新しいタブで開きます)で整理されているとおり、タスク同士の依存関係を矢印やノードで示す工程図である。代表的な手法にアローダイアグラム法(ADM)とプレシデンスダイアグラム法(PDM)がある。

詳細・ポイント

ADMでは、円(ノード)がイベント(作業の開始点・終了点)を表し、矢印(アロー)が作業そのものを示す。PDMではノードが作業を表し、矢印が依存関係を示す。近年の工程管理ソフトの多くはPDMを採用している。

作成の要点は、作業の分解粒度である。細かすぎると維持できず、粗すぎると依存関係が現れない。躯体・仕上・設備といった工種の切り替わりと、検査・承認といった待ちが発生する箇所を落とさないことが基本になる。

業界への波及効果

工期の適正化が制度面から求められるようになり、「なぜこの工期が必要か」を説明する場面が増えた。ネットワーク工程表は、その説明を客観的に成立させる数少ない道具である。

一方で、作成の手間から敬遠されてきた経緯もある。工程管理ソフトの普及により、この障壁は下がりつつある。

実務者のアクション

全工事をネットワーク化する必要はない。まずは工期の逼迫が予想される期間を切り出し、その範囲だけ依存関係を書き出すことを勧める。

依存関係を書く際は、物理的な制約(前の作業が終わらないと着手できない)と、資源的な制約(同じ職方が兼務している)を区別しておくと、後の対策検討が早い。