背景・経緯
ネットワーク工程表を扱ううえで避けて通れないのがフロート(余裕日数)の概念である。ネットワーク工程表の解き方の解説(新しいタブで開きます)でも、トータルフロートとクリティカルパスの求め方がセットで扱われている。
フロートを理解していないと、工程表は「線が引いてある絵」で終わる。どこにどれだけ余裕があるかを数値で持って初めて、工程は管理対象になる。
詳細・ポイント
トータルフロートは、その作業を遅らせても全体工期に影響が出ない最大日数である。フリーフロートは、後続作業の最早開始時刻に影響を与えない範囲の日数を指す。
両者の差が実務上の意味を持つ。トータルフロートを使い切る遅延は全体工期には響かないが、後続作業の余裕を食い潰す。つまり「自分は間に合ったが、次の職方に無理をさせた」という状態が、数値として説明できる。
業界への波及効果
協力会社との調整で「少し遅れても大丈夫か」という問答は日常的に発生する。フロートを共有していれば、この問答は数字の確認に変わる。
一方で、フロートを開示すると使い切られるという懸念から、意図的に伏せる運用も現場には存在する。工程の透明性をどこまで持つかは、元請の方針が問われる部分である。
実務者のアクション
工程表を更新するたびに、トータルフロートが小さい作業の上位数件を一覧化しておくと、次に危なくなる箇所が事前に見える。
フロートがマイナスになった経路は、既に工期が成立していないことを意味する。この状態を放置せず、工程短縮か工期変更のどちらかを早期に判断すべきである。