背景・経緯
予算超過が判明したとき、現場で最初に出てくる言葉が「VEしよう」である。しかしVEとCDの違いに関する解説(新しいタブで開きます)が指摘するとおり、実際に行われているものの多くはVEではなくCD(コストダウン)である。
VE(バリューエンジニアリング)は、製品やサービスの品質・機能といった価値を維持したままコストを削減する手法である。対してCDは、材料のグレードを下げる、仕様を簡略化する、工事範囲を縮小するなど、一定の機能低下を前提とした見直しを指す。
詳細・ポイント
両者の違いは「機能」を軸に判断できる。同じ機能をより安く実現する方法を探すのがVE、機能そのものを削るのがCDである。
建設業界では、公共工事の費用縮減が求められた1990年代以降、設計段階からのVE活用が促進され、入札制度や発注方式にも組み込まれてきた。VE提案型入札方式はその代表例である。
効果の大きさは適用段階に依存する。設計VEは仕様の選択肢が広く効果が大きいのに対し、施工VEは工法や調達の工夫に限られる。
業界への波及効果
発注者がVEとCDを区別せずに削減を求めると、結果として性能の低い建物ができる。数年後の維持管理コストで、削減分を上回る負担が生じることも珍しくない。
CM方式のコスト管理業務では、提案がVEなのかCDなのかを仕分けて発注者に示すことが期待される役割になる。
実務者のアクション
削減提案を受けたら、「どの機能がどう変わるか」を一件ずつ確認したい。金額だけの一覧では、判断はできない。
CDを選ぶ場合も、それが機能低下を伴う判断であることを記録に残すべきである。後年「聞いていない」という争いを防ぐ。