背景・経緯
2024年4月に導入された時間外労働の上限規制や、建設資材費・人件費の高騰を背景に、いわゆる「建設業の2026年問題」が現実の形で表れ始めている。総合資格naviの記事(新しいタブで開きます)によると、受注余力の縮小と工期の長期化が深刻化し、受注できない、あるいは受注後に建設費が著しく高騰し竣工時期が大幅に延期になるといった事態が各地で起きているという。
人手不足が受注減少の大きな要因とされ、建設会社の経営そのものに影響を及ぼす段階に入っている。
詳細・ポイント
記事では、具体的な事例として複数の大型プロジェクトの中止・延期が紹介されている。JR九州は435億円規模の博多駅空中都市プロジェクトを中止し、中野サンプラザ再開発では事業者協定の解除に至った。渋谷スクランブルスクエア第2期も4年延期となったほか、帝国ホテル東京の新本館は竣工時期が「未定」に変更されている。
こうした著名プロジェクトの停止が相次ぐ背景には、円安に伴う資材価格の上昇や鉄鋼・セメントなど建材の国際価格上昇、そして深刻な職人・労働力不足がある。建設会社の約7割が「2026年度に大型工事を受注できない」と回答したとの調査結果も、この状況を裏付けている。
業界への波及効果
象徴的な大型プロジェクトの中止・延期は、発注者・投資家に対して建設コストの先行きへの不安を強く印象づける。今後、新規プロジェクトの計画段階でより保守的な予算組みや工期設定が求められるようになる可能性がある。
一方で、受注余力の乏しい建設会社にとっては、無理な受注を避けて採算の取れる案件を選別する動きが強まり、結果として発注者側の交渉力が相対的に弱まる構図も生まれつつある。
実務者のアクション
大型プロジェクトの発注を検討する事業主体は、着工から竣工までのコスト変動リスクを従来以上に大きく見積もり、契約段階で価格変動への対応方針を固めておく必要がある。
施工を担う建設会社側も、受注可否の判断基準を明確化し、無理な工期・価格での受注を避けることで、着工後のトラブルや工事中断のリスクを減らすことができる。