背景・経緯
ファシリティマネジメント(FM)は、土地・建物などの施設を経営資源として有効活用し、経営目的の達成を図る経営活動である。静岡県の公共施設等の適切な維持保全に向けた取組(新しいタブで開きます)でも、この考え方に基づく取組が整理されている。
背景は明快で、建築後30年以上が経過した施設が全体の7割に迫っている。修繕・更新の需要が一斉に立ち上がる一方、財政と人員には限りがある。
詳細・ポイント
取組の柱は、計画的な保全を実施して施設の長寿命化を図ることにある。損傷が出てから直す事後保全では、大規模修繕や建て替えが集中し、単年度の財政負担が跳ね上がる。
もう一つの柱が、管理経費そのものの削減である。デジタル技術の活用や、既存建物のZEB化等の推進によって、運用段階のコストを下げる方向が示されている。建てる段階だけでなく、使い続ける段階の費用を設計対象として扱う発想である。
業界への波及効果
人口減少と自治体合併により施設が供給過剰となっている地域では、総量の整理が避けられない。FMの専門部署や担当者を新たに設ける自治体が増えているのは、この判断に組織的な裏付けが要るためである。
事業者側にとっては、新築中心から改修・保全中心へ市場の重心が移ることを意味する。既存建物を調査し、法適合を判断できる技術者の価値が高まる。
実務者のアクション
自治体の担当者は、保全計画に記載した概算費用を最新の単価で再検証したい。策定時点の単価では、現在の入札に届かない可能性が高い。
施設の統廃合を伴う判断では、削減額だけでなく住民サービスへの影響を併記した資料を用意しておくと、議会や住民への説明が組み立てやすい。