背景・経緯
工程は工程表で、原価は原価管理表で見る。この分業が、建設現場でよくある見落としを生む。工程どおりでも原価が超過している、あるいは原価は予算内でも作業が進んでいない、という状態が別々の資料に分かれていると気づきにくい。
EVMは、EVMの基本解説(新しいタブで開きます)で整理されているとおり、作業をすべてコストに換算して管理することで、スケジュール管理とコスト管理を同時に行う手法である。
詳細・ポイント
基本要素は3つである。PV(Planned Value、計画出来高)は各時点までに完了すべき作業の予定額、AC(Actual Cost、実績コスト)は各時点までに実際に費やした額、EV(Earned Value、出来高実績)は完了した作業を予定額に換算した値である。
実務上の勘所はEVの算定にある。「50%完了」を誰がどう判定するかを決めておかないと、EVは主観の集計になる。出来形数量や検査完了といった客観的な基準に紐づけるのが定石である。
業界への波及効果
公共工事では出来高部分払方式が広がっており、出来高の客観的な把握はEVMの前提と重なる。既存の出来高管理を拡張する形でEVMに接続できる余地は大きい。
一方で、建設現場の原価は月次で確定することが多く、リアルタイム性には限界がある。この時間差を踏まえた運用設計が必要になる。
実務者のアクション
全工種で始めようとせず、金額規模が大きく進捗が測りやすい工種から試すのが現実的である。躯体工事は出来形数量が明確で、最初の対象に向く。
EVの判定基準は、着工前に発注者・協力会社と共有しておきたい。途中で基準を変えると、過去の数値との比較ができなくなる。