背景・経緯

コンストラクション・マネジメント(CM)は、発注者の立場に立って、設計から施工までのプロセスを管理し、コスト・工程・品質・リスクを統括する業務である。日本では、公共・民間を問わず発注者側の技術者が減少するなかで、専門的な知見を外部から補う手段として活用が広がってきた。国土交通省も多様な入札契約方式の一つとしてCM方式を位置づけ、地方公共団体での活用を促している。

CM業務は、設計事務所の監理業務とも、施工会社の施工管理とも異なる。発注者の代理として、発注方式の選定、設計内容の妥当性の検証、コストの査定、工程の統括、複数の契約主体間の調整までを担う。この業務に必要な知識と能力を証明する仕組みとして、一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(CMAJ)が運用しているのが認定コンストラクション・マネジャー資格、通称CCMJである。資格の概要は日本CM協会の認定CM資格ページ(新しいタブで開きます)で公開されている。

詳細・ポイント

受験資格は、建設プロジェクトに関わる3年以上の実務経験とされている。特定の学歴や他資格の保有が前提になっているわけではなく、実務経験が入口になっている点が特徴である。設計、施工、発注者側の事業管理など、経験の積み方は複数ありうる。

試験は知識試験と能力試験の2段階で構成される。知識試験はCBT方式で実施され、受験者は設定された期間内の希望する日時に受験する。能力試験は別途、指定された日に実施される。2026年度の日程では、受験申込の受付が6月1日から7月31日、知識試験が8月15日から8月23日の期間内、能力試験が8月30日と案内されている。年度により日程は変わるため、受験を検討する場合は協会の最新の実施要領を確認する必要がある。

知識試験と能力試験に分かれている構成は、CM業務の性格を反映している。契約や積算、工程管理の知識を持っていることと、実際のプロジェクトで判断を下せることは別の能力であり、後者を測るために能力試験が置かれている。

CM業務は法令で定められた独占業務ではないため、CCMJを持たなければCM業務ができないわけではない。ただし、発注者がCM業務を委託する際の技術者要件や、プロポーザルにおける評価項目として資格保有が扱われる場合がある。発注者側から見れば、外部に委託する相手の力量を判断する材料が限られるなかで、第三者が認定した資格は一つの目安になる。

業界への波及効果

発注者側の技術者不足は、特に地方公共団体で深刻になっている。事業の企画から発注、施工中の監督までを担う職員が減る一方で、多様な入札契約方式の活用や、老朽化インフラの更新など業務の難易度は上がっている。この差を埋める手段としてCM方式や発注者支援業務の活用が進み、担い手の需要が増えている。

民間発注でも、事業主が建設の専門知識を持たないケースでCMの役割は大きい。物流施設やデータセンターのように事業スピードが重視される案件では、設計と施工の並行や複数契約の並走が前提になり、全体を統括する立場が必要になる。

一方で、CM業務の品質は担い手の能力に強く依存する。業務の内容が発注者ごとに異なり、成果物の形も定型化しにくいため、力量の差が結果に直結する。資格制度が機能するかどうかは、認定の水準が実務の要求に見合っているかにかかっている。

実務者のアクション

設計事務所やゼネコン、発注者支援業務に携わる技術者でCM業務への関与を考えている場合は、まず協会が公表する受験資格と年度の実施要領を確認し、3年以上の実務経験の要件を満たしているかを整理する。申込受付は年度ごとに期間が区切られるため、案内が出た時点で判断する。

準備にあたっては、CM業務の対象範囲を体系的に押さえる。発注方式の選定、概算・積算とコスト査定、工程計画とリスク管理、契約管理といった領域は、自身の実務経験がどれかに偏っていることが多い。手薄な領域を自覚したうえで補うのが効率的である。

発注者側の担当者は、CM業務を委託する際の技術者要件を検討する材料として資格の位置づけを把握しておく。資格の有無だけで判断せず、類似案件の実績と併せて評価する。あわせて、自組織でどこまでを内部で担い、どこからを外部に委ねるかの線引きを事前に整理しておくことが、委託範囲の曖昧さによるトラブルを防ぐ。