背景・経緯
庁舎建替は、自治体にとって特殊な事業である。庁舎建て替えなど公共事業におけるCM方式の採用事例とメリット(新しいタブで開きます)でも指摘されるとおり、頻度が低いために庁内に経験が蓄積されない。
前回の建替を経験した職員は既に退職している、というのが典型的な状況である。
詳細・ポイント
この事業のもう一つの特徴が、説明責任の重さである。庁舎は住民に直接のサービスを提供する施設ではないため、投資に対する目が厳しい。規模・仕様・事業費のいずれについても、根拠の説明が求められる。
CM方式が効果を発揮しやすいのは、設計者選定の支援と事業費の管理である。プロポーザルの評価基準づくり、設計内容とコストの整合確認、入札不調のリスク評価といった領域は、専門知識なしには判断できない。
業界への波及効果
近年は建設費の高騰により、当初計画の事業費で発注できない事例が相次いでいる。計画段階での事業費設定の精度が、事業の成否を分ける。
規模の見直しや工法の変更といった判断を、住民説明と並行して行う必要があり、意思決定の難易度は上がっている。
実務者のアクション
自治体側は、事業費の説明資料を「総額」ではなく「単価×面積+外構等」の構造で持ちたい。総額だけでは、増額の理由を説明できない。
規模の縮小が必要になった場合に何から削るかを、計画段階で優先順位として整理しておくことを勧める。実際に迫られてからの議論は紛糾する。