背景・経緯
本件は国土交通省(新しいタブで開きます)の公表資料で報じられている。
公共工事の発注者である地方公共団体では、長年にわたる公共事業の減少に伴い技術職員が不足し、設計・積算・監督といった発注関係事務を自前で十分にこなせない自治体が増えている。平成26年6月に改正された公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)では、発注関係事務の実施が困難な場合、その全部または一部を外部の能力を活用して行うよう努めることが定められた。この受け皿の一つとして、発注者の立場に立ってプロジェクトマネジメントを行うコンストラクション・マネジメント(CM)方式の活用が広がっている。
詳細・ポイント
CM方式は、CM会社に所属するコンストラクション・マネジャー(CMr)が発注者側の立場から、設計者・施工者・関係コンサルタントなどとの調整やスケジュール管理、コスト管理を支援する方式である。国土交通省は「地方公共団体におけるピュア型CM方式活用ガイドライン」や「CM方式活用事例集」を公表し、自治体が発注者体制を補完する手段としてCM方式を選択しやすい環境を整えている。近年は、設計と施工を一括して発注するDB方式(デザインビルド方式)や、施工者が設計段階から早期に関与するECI方式(Early Contractor Involvement)など、多様化する発注方式と組み合わせてCMを導入するケースも増加している。
業界への波及効果
CM方式の普及は、技術者不足に悩む地方公共団体にとって発注者機能を実質的に外部化できる選択肢を広げる一方、CM会社・PM会社にとっては公共工事分野での新たな事業機会となる。庁舎建て替えなど大規模な公共施設整備において、CM方式の採用事例が積み上がることで、今後は中規模自治体や中規模工事への展開も進むと見込まれる。BIMとの親和性も指摘されており、CM方式とデジタル設計・施工管理ツールを組み合わせたプロジェクトマネジメントの高度化が今後の論点になる。
実務者のアクション
自治体の発注担当者は、技術職員体制が逼迫している事業について、国土交通省のガイドラインや事例集を参照しながらCM方式導入の可否を検討するとよい。CM会社・建設コンサルタント側は、DB方式やECI方式といった新しい発注方式に対応できるプロジェクトマネジメント体制を整え、地方公共団体向けの提案力を強化することが、今後の受注機会の拡大につながる。